健康的な生活習慣で寿命が延長!

健康的な生活習慣で寿命が延長!

・ハーバード大学の研究によると、健康的な5つの生活習慣を継続した人は、男性で12.2年、女性で14.0年寿命が延長した。

・健康的な生活は、①食習慣②運動習慣③飲酒習慣④喫煙⑤適正体重の5つの条件でスコア化される。

・生活習慣は特に、心血管疾患死との関係が強いことがわかった。

・健康的な生活習慣が寿命に与える影響に関する研究は各国で実施されており、各国で寿命延長効果がみられている。

[参考文献]
Impact of Healthy lifestyle Factors on Life Expectancies in the US population. Li Y, Pan A, Wang DD, et al. Circulation. 2018

はじめに

米国・ハーバード大学のLi氏らの研究グループによると、健康的な5つの生活習慣を継続した人は、これらの生活習慣を継続しなかった人と比較して、男性は12.2年、女性は14.0年寿命が延長した結果が示されている。

研究背景

WHO(世界保健機関)が2016年に実施した統計調査によると、米国の平均寿命は男女平均で78.5歳であり、他の先進国と比較して低いことが問題になっている。同調査において日本の平均寿命は84.2歳であった。長寿には生活習慣が深く関わっていると仮説を立て、米国在住の成人12万3千人を対象に34年間追跡調査を実施した。

研究方法

著者らは、78,865人を対象とした調査研究「Nurses’ Health Study(1980-2014)」と44,354人を対象とした調査研究「The Health Professionals Follow-up Study(1986-2014)」の2つのデータを元に統計解析を実施した。30歳から75歳までの男女を対象とし、身長、体重、食習慣、運動習慣、飲酒習慣、喫煙歴、サプリメント(ビタミン剤)の使用、解熱鎮痛剤(アスピリン)の使用、家族の病歴について質問調査した。

健康的な生活スコアは、以下の5つの条件にいくつ一致するか否かを調べた。

①健康的な食習慣
Alternate Healthy Eating Index scoreを用いて食事を調査し、スコアの上位40%を健康的な食習慣であると定義し、1点加算した。食習慣スコアは以下の項目で形成される。
野菜、果物、ナッツ、全粒穀物、多価不飽和脂肪酸、ω3脂肪酸は1日の推奨量を摂取していること。赤身肉、加工肉、糖添加飲料、トランス脂肪酸、食塩の摂取量を制限していること。

②健康的な運動習慣
1日30分以上の中等度~強度の身体活動を継続していること。

③飲酒習慣
適度の飲酒(純アルコール量換算で女性5~15g/日、男性5~30g/日)を遵守していること。日本では、純アルコール20gで1合と定義されている。ビール中瓶(500ml)は1本で1合であり、日本酒やワインは180mlで1合である。

④喫煙歴
現在、喫煙していないこと。

⑤適正体重
正常体重[体格指数(BMI): 18.5~24.9kg/m2]を維持していること。

各項目の条件に一致している場合、1点加算するため、0点は高リスク生活習慣である。生活習慣スコア0,1,2,3,4,5点と分類し、点数が高いほど健康的な生活習慣とした。追跡期間中、2年に1回再調査し、結果に反映させた。

研究結果

34年間の追跡期間中に4万2167人の死亡が確認された。まずは、死因と生前の生活習慣スコアを比較して、生活習慣が死因に関係あるか調査した。調査の方法として、ハザード比を算出し、死因と生活習慣の相対的な危険度を客観的に比較した。なお、ハザード比は1を基準とし、数字が小さくなるほど生活習慣が各疾患の発症しやすくなる危険因子であることを示す。

生活習慣スコア0点群(高リスク生活習慣群)に対する5点群(健康的な生活習慣群)のハザード比は全死亡率が0.26であり、死因別に調査したところ、がん死が0.35であり、心血管疾患死が0.18であった。特に心血管疾患死はハザード比が低く、健康的な生活習慣によって予防できる可能性があることが示唆される。

寄与危険割合は、寄与危険が暴露群の罹患リスクに占める割合を示す。すなわち、高リスクの生活習慣を続けていたことが影響して各疾患の発症する割合を算出した。健康的な5つの生活習慣因子を遵守しなかった場合の寄与危険割合は全死亡が60.7%、がん死が51.7%、心血管疾患死が71.7%であった。特に心血管疾患は生活習慣と密接な関係があり、健康的な生活習慣で予防できる可能性が示唆された。

次に、生活習慣が寿命へ与える影響を調べたところ、5つの健康的な生活習慣を1つも遵守しなかった場合、女性の平均寿命は79.0歳、男性ではそれぞれ75.5歳と推測された。一方、5つの健康的な生活習慣をすべて遵守した場合、女性では93.1歳、男性では87.6歳と推測された。

考察・まとめ

今回の米国研究で明らかになったことは、健康的な5つの生活習慣を継続した人は、これらの生活習慣を継続しなかった人と比較して、男性は12.2年、女性は14.0年寿命が延長したことである。健康的な生活習慣が寿命に与える影響に関する研究は、過去に各国で実施されており、今回の研究結果とほぼ一致していた。健康的な生活習慣を継続することで、日本の研究では8.3歳(女性)10.3歳(男性)、カナダの研究では17.9歳、ドイツの研究では13.9歳(女性)17.0歳(男性)、寿命が延長すると報告されている。

これらの結果は、健康的な生活習慣や生活環境が、人種や社会に左右されずに平均寿命延長に寄与していることを示唆している。適正体重を維持している人の割合を増加させるため、正しい健康情報の発信と、健康的な運動習慣を継続するための社会的健康資産(公園や体育館)が環境づくりにおいて重要である。予防は国の健康政策の最優先事項であり、予防ケアは医療制度の不可欠な部分である。



抗老化研究カテゴリの最新記事