ニキビ治療薬、アクネトレント(ロアキュタン)は安全なの?自由診療の謎にせまる!

ニキビ治療薬、アクネトレント(ロアキュタン)は安全なの?自由診療の謎にせまる!

ニキビ(痤瘡)は肌の色、質感を損なう疾患であり、誰しもが人生で一度は悩まされたことがあるのではないでしょうか。自由診療で用いられるニキビ治療薬アクネトレントは根強い人気がありますが、その副作用について十分な理解がされないまま使用されていることがあります。本記事では、アクネトレントの効果と副作用について、論文からの知識を交えながら紹介します。

American Academy of Dermatology Association Guidelines
https://www.jaad.org/article/S0190-9622(15)02614-6/fulltext
NIH LiverTox: Clinical and Research Information on Drug-Induced Liver Injury
https://www.aad.org/member/clinical-quality/guidelines/acne
NHS Isotretinoin capsules (Roaccutane)
https://www.nhs.uk/medicines/isotretinoin-capsules/

●アクネトレントとは

アクネトレントは、ニキビ治療に用いられる内服薬で、「イソトレチノイン」というビタミンA誘導体を有効成分としています。

「アキュテイン」が先発医薬品であり、その後発医薬品として「ロアキュタン」「アクネトレント」「アクノティン」「イソトロイン」など製薬会社ごとに商品名を変えて誕生しました。いずれもイソトレチノインを主成分としており、商品名が異なるだけで有効成分や副作用、効果に違いはありません。

1982年にアメリカの政府機関FDA(米国食品医薬品局)の認可を受けた成分で、以来、難治性のにきびに対する処方薬として各国で使用されています。

●にきび治療の現状

日本におけるにきび治療は、アダパレン、過酸化ベンゾイル、外用抗菌薬、内服抗菌薬が中心で、欧米のガイドラインで重症痤瘡に対する第一選択となっている経口イソトレチノインは未承認です。そのため、クリニックでの処方は保険適応外となります。

●イソトレチノインの効果

イソトレチノインは脂溶性であり、食事と一緒に食べると吸収が良くなります。これが、食後の内服を勧められる理由です。ニキビに対する効果としては以下の3つがあります。

  • 皮脂分泌の抑制
  • 細胞を正常化し、毛穴詰まりを予防する
  • 抗炎症作用により、ニキビの赤みを緩和する

ニキビ発生の原因である過剰な皮脂や毛穴詰まりの予防、およびニキビにより生じる炎症の改善効果が期待されます。

効果がでる内服量としては、累積使用量が計120mg~150mg/kg以上となるとニキビの再発率が下がるという報告や計220mg/kg以上必要という報告がありますが、研究対象が116人程度のためより大規模な研究が必要でしょう。

●各国での薬剤承認内容

・米国

重症・難治性結節性ざ瘡に対して、1日体重1kgあたり0.5~1.0mgを2分割、食事と一緒に内服する。期間は15~20週間。

・カナダ

重症結節性ざ瘡・炎症性ざ瘡・集簇性ざ瘡・難治性ざ瘡に対して、

初期治療:1日体重1kgあたり0.5mgを1回または2分割、食事と一緒に内服する。期間は2~4週間。

維持療法:1日体重1kgあたり0.1~1mg(最大2mg/kg)を1回または2分割、食事と一緒に内服する。期間は計12~16週間。

・オーストラリア

重症嚢胞性ざ瘡に対して、

初期治療:1日体重1kgあたり最大0.5mgを1回または2分割、食事と一緒に内服する。期間は2~4週間。

維持療法:1日体重1kgあたり最大1mgを1回または2分割、食事と一緒に内服する。期間は計16週間。

●副作用

最も頻繁にみられるのが、皮膚粘膜症状です。また、筋骨格・視神経系に与える影響にも気をつける必要があります。これは、ビタミンA過剰症の症状に似ています。これらの症状は、イソトレチノインを中止すると症状は改善します。この他に注意すべき副作用について以下に示します。

胎児への影響

妊娠または妊娠している可能性がある場合、胎児に先天異常、流産、早産、死産を引き起こすおそれがあります。1982年にアメリカでイソトレチノインが使用され始めてから、たったの数年で何百もの報告があり、妊娠中にイソトレチノインに暴露することで先天的な奇形を生じる可能性が高くなることが示されました。

炎症性腸疾患(IBD)

IBDは潰瘍性大腸炎とクローン病を含む疾患の総称ですが、イソトレチノインとIBDの関係を調べる後ろ向き研究が複数行われています。そのうち2つでは、相互関係があると論じられましたが、最近の研究分析ではイソトレチノインとIBDの発症を関連づけるデータに乏しいと結論づけられています。

肝障害

イソトレチノインを含むレチノイドは血中の肝酵素を上昇させることが知られています。これはイソトレチノイン使用患者の最大15%に認められますが、正常上限の3倍以上まできたす例や内服中止に至る例は極めてまれです(<1%)。また、acitretinやetretinateとは異なり、イソトレチノインが急性肝障害を引き起こす明らかな因果関係は認められていません。

精神症状

抑うつ症状や自殺企図、不安、気分変調が副作用としてまれに見られるとの報告がありました。一方で、複数の研究でイソトレチノインがネガティブなムードや記憶を改善することも示していました。精神疾患とイソトレチノインの関係については、100-200人程度を被験者とした小規模なものが多く、明らかな関連は示せていないものの、否定もできていないのが現状のようです。気をつけておくべきは、ニキビ治療を求めてくる年代がこのような精神症状を呈する世代であるため、発見した場合は早期の注意喚起を必要とします。

高脂血症・高コレステロール血症

イソトレチノイン内服によって脂質異常症を起こすことが知られていますが、通常内服期間は短いため、心血管リスクが高まるという研究結果は出ていません。

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