寿命を5倍延長する分子伝達経路を発見!効率的なアンチエイジング治療への道をひらく

寿命を5倍延長する分子伝達経路を発見!効率的なアンチエイジング治療への道をひらく

より効率的なアンチエイジング治療への道をひらく研究結果が発表された。
MDI生物研究所の科学者は、カリフォルニア州ノヴァトのバック老化研究所と中国の南京大学の科学者と協力して、C.elegans(線虫)の寿命を5倍も延ばす新たな生体内分子伝達経路を発見した。C.elegansは老化研究のモデル実験動物としてよく用いられる。寿命の延長幅を人間に換算すると400-500年も長生きしたことになる。

Mount Desert Island Biological Laboratory “Pathways that extend lifespan by 500 percent identified: Discovery of cellular mechanisms could open door to more effective anti-aging therapies.” 

この研究は、C.elegansの老化を支配する2つの主要経路の発見に端を発しています。C.elegansはヒトと同じような遺伝子を多くもち、寿命がわずか3~4週間です。そのため、実験による遺伝的・環境的介入が老化に与える影響を迅速に評価できると人気があります。

老化に関係する分子伝達経路は種を超えて「保存されている」、つまり進化を通じて人間に受け継がれているため、主要なアンチエイジング研究の対象となっています。これらの経路へ影響を与えることによって健康寿命を延ばす多くの薬が現在開発中です。今回発表された相乗効果の発見は、さらに効果的なアンチエイジング療法への扉を開きます。

新しい研究では、インスリンシグナル伝達(IIS)とTOR経路の両方が遺伝子組み換えされた二重変異体を使用しています。これまでの研究により、 IIS経路を変更すると寿命が100%延長し、TOR経路を変更すると30%延長することが知られており、二重変異体の寿命は130%長くなると予想されていました。しかし、実際の寿命延長効果は500%にものぼりました。

「C.elegansで老化を支配する細胞経路が発見されたにもかかわらず、これらの経路がどのように相互作用するかは明らかではありませんでした」と、MDI生物学研究所所長であるHermann Haller医学博士は述べています。 「老化経路の相互作用をうまく組み合わせることで、急速に高齢化する人口の健康寿命を延ばすために切望されている治療法へのつながる道を開拓したいのです。」

相乗効果を制御する細胞メカニズムの解明は、”Translational Regulation of Non-autonomous Mitochondrial Stress Response Promotes Longevity”と題された科学ジャーナルCell誌で報告されました。著者には、MDI生物学研究所のJarod A. Rollins博士やAric N. Rogers博士が名を連ねます。

南京大学のJianfengLan博士とともに筆頭著者であるRollins博士は次のように述べています。「相乗効果による効果の拡大は非常に刺激的です。1プラス1が2でなく5になったのです。最も効果的なアンチエイジング治療を開発するには、個々の分子伝達経路というよりも長寿に関わる分子ネットワークを分析する必要があります。」

老化経路の相互作用の発見は、アンチエイジング薬の併用療法が効果的である可能性を示唆しています。併用療法が癌やHIVの治療に使用されるのと同様に、健康な人間の寿命をも伸ばしうるかもしれません。

相互作用するネットワークの存在が、老化の原因となる単一の遺伝子を今まで科学者が特定できなかった理由かもしれません。

この論文は、エネルギーの動力源となる細胞内小器官のミトコンドリアで寿命がどのように調節されているかに焦点を当てています。過去10年間蓄積された研究結果では、ミトコンドリアの機能不全と老化の因果関係を示唆してきました。Rollins博士の将来の研究は、老化におけるミトコンドリアの役割のさらなる解明に焦点を当てるとのことです。

最後になりますが、Rollins博士とRogers博士の研究は、NIH、Morris Scientific Discovery Fund、及びNational Institute of General Medical Sciencesによって資金援助されました。

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