ついに!アンチエイジング遺伝子療法の臨床試験が人間で始まる

ついに!アンチエイジング遺伝子療法の臨床試験が人間で始まる

人間を対象としたアンチエイジング治療が開始するようだ。これは、ウイルスを用いてテロメアを修復する遺伝子コードを被験者の細胞に送り込む治療法で、マウスの研究では老化を遅らせることが示唆されている。マウス研究で成果がみられたアンチエイジング治療のヒトへの応用が過熱しているが、潜在的な副作用への対応が急務となっている。

本文中より

長寿に関する最近の研究は、「生命の泉」を実現できそうだと思わせてくれます。

テロメアの遺伝子治療

Libella Gene Therapeutics社は、最高で20年ほど老化を逆転させることができる遺伝子治療をボランティアの人に対して投与するつもりのようです。この治療法において最初の人体実験であるにもかかわらず、同社はこの研究に参加するためにボランティアに100万ドルを請求しています。 FDAから文句を言われないために、研究はコロンビアで行われる予定です。

この治療法では、染色体末端のキャップであるヒトのテロメアの修復を試みます。テロメアは、歳を重ねるにつれて短くなっていくため、老化において重要な役割を担うと考えられてきました。マウスのテロメアを伸ばす研究では、老化の兆候を遅らせ、寿命を約10~20%延ばすことが示唆されました。

Libellaの治療では、ウイルスを用いてTERTと呼ばれる遺伝子を被験者の細胞に送りこみます。TERTは、テロメアを再構築する”テロメラーゼ”と呼ばれる酵素をコードしています。

専門家がMIT Tech Reviewに伝えた内容によると、この臨床試験は、非倫理的でデザインが不十分であり、休眠中のがん細胞を活性化する危険性など、参加者に深刻なリスクをもたらすと語っています。しかし同社は、研究の詳細情報について説明する前に試験の開始をアナウンスしているだけで、実際に臨床試験が実施されるかどうかまだ不明です。

今回の臨床試験が行われなくても、今後ますます老化を回避するための治療は一般的になるでしょう。ライフスタイルの改善から遺伝的介入まで、老化は予防可能であると示唆する研究成果が次々と出てきています。

2017年、科学者たちはマウスの研究で、薬物を用いてエピジェネティックマーカー(ゲノムの調節に関与する化学物質の付着)を再プログラムし、寿命を30%延長させたと発表(本サイト別記事)しました。続く2018年に、別のチームは、複数の薬を組み合わせて、老化細胞(有害な化学物質を漏らし、近くの組織を損傷するゾンビ細胞)を殺すと、マウスの寿命が36%向上することを示しました。

有名な遺伝学者George Church博士は、犬の寿命を延ばすために独自の遺伝子治療を行うRejuvenate Bioと呼ばれるスタートアップを立ち上げましたが、究極の目標はその技術を人間に拡張することだと認めました。また、2019年11月、ハーバード大学のChurch博士グループはマウスを用いた実験で、遺伝子治療により3つの加齢性疾患に対して一度に良い効果をもたらしたことを発表しました。

人々を対象としたアンチエイジング治療は、すでに始まってきています。長寿を研究するBioViva社のElizabeth Parrish CEOは2015年に、Libella社と似たメカニズムの遺伝子治療を行い、自身のテロメア延長に成功したと主張しています。ただし、研究結果は論文として発表されていません。

2019年前半に、人間を対象とした研究で、薬物を複数投与することでエピジェネティックの時計をリセット(本サイト別記事)できることがわかりました。エピジェネティックマーカーは、人の生物学的年齢を測定するために使用されています。参加者は、免疫システムの若返り兆候も示しました。

さらに物議をかもしている事ですが、FDAは最近、若者からの血漿の輸血をやめるよう、公にアナウンスしています。このアイデアは、マウスの若返り効果を示した最近の研究に基づいていますが、ほとんどの専門家は、人間に適用するには時期尚早だと言います。

FDAが、この急成長している非常に収益性の高い市場を先導できるか不明ですが、これらのアンチエイジング治療には多くの潜在的な副作用があることを考えると、それは優先事項であるはずです。

また、長寿療法が社会に何をもたらすかについて、より詳細な議論をする必要があります。長寿療法の効果が明確になったと仮定すると、100万ドルを支払える人達だけが寿命を伸ばすことで世の中はどうなるのでしょうか?老化の治療が廉価になった場合、それは現在のコミュニティの性質をどのように変えるでしょうか?これらは、今後数十年でますます意義が高まる可能性のある質問となるでしょう。

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