NMNとNR:話題のNAD +前駆体はどちらが優れているのか?

NMNとNR:話題のNAD +前駆体はどちらが優れているのか?

NR(ニコチンアミドリボシド)は、NAD+の非常に効率的な前駆体と考えられているが、その兄弟のような分子であるNMNは、NAD+前駆体の新しい選択肢として研究者を驚かしている。NRはサイズが小さく細胞内に取り込まれやすく、NMNはトランスポーターを介した取り込みが明らかになってきた。現在まで、人間を対象とした両者の比較研究は行われておらず、マウス実験の結果をもとに論争が繰り広げられている。

本文中より

両者の大きな違いはサイズ

新しい家に引っ越すのは決して簡単ではありません。大きなベッドが寝室に収まるからといって、部屋のドアを通過できるわけではありません。そのため、ドアを通過するためにベッドを分解し、中に入れてから組み立て直すのが一般的です。

NMNと呼ばれるニコチンアミドモノヌクレオチドという分子についても同じことが言えます。 NMNは、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)[本サイト別記事]の前駆体であり、生体内における一連の化学反応によりNAD +になります。 NAD+は、体のあらゆる細胞に含まれる重要な要素ですが、その体内濃度は年齢とともに自然に低下するため、結果としてNMNが重要になります。

ただNMNは、冒頭に述べた大きなベッドのようなものです。細胞に簡単には入ることができません。 NMNが細胞に入る1つの方法は、細胞に入る前に別の分子(ニコチンアミドリボシド、またはNRと呼ばれる)に化学的に変換することです。 NRは、NAD+の非常に効率的な前駆体としての地位を確立しており、そのまま細胞に入ることができます。一方、NMNのうちNRになったものは、細胞内に入りNMNに再変換され、最終的にNAD +になります。

NRは、NAD+へとつながり、他のNAD+前駆体が必要とする様々なプロセスをバイパスする独自の経路も持っています。一方、NMNはマウスの小腸細胞に取り込まれることが分かっていましたが、2019年の研究で、その他の細胞に取り込まれるためにはNRに変換される必要があるかもしれないと新たに分かってきたのです。これが人間に当てはまるかどうか不明ですが、NMNがNAD+へ繋がる可能性として育ってきているのです。ただ、NRと比べた場合はどうでしょうか?

細胞内への取り込まれやすさ

現時点で、人間を対象として、NRとNMNの2つを比較した研究ないため、論争の的となっています。 NMNとNRの最大かつ最も明白な違いはサイズです。 NMNはNRよりも単純に大きいため、細胞に収まるように分解する必要があります。 NRは、他のNAD+前駆体(ニコチン酸やニコチンアミドなど)と比較した場合、取り込みの効率が最も高いです。

しかし、NMNに新しいドアが開かれはじめました。これは、細胞のトランスポーターを介した取り込みであり、まったくの新しい経路です。 トランスポーターは細胞のドアとなるタンパク質で、分子を小さく変換する必要なく細胞に入ることを可能にします。

セントルイスにあるワシントン大学のdevelopmental biology教授である今井慎一郎医学博士は、最新の研究で、NMNがNRに変換されずに細胞内に入ることを可能にする輸送体を特定しました。 このトランスポーターはマウスの腸内にある細胞にのみ存在し、ナトリウムイオンの存在下でのみ機能します。 ただし、NRは、マウスモデルの肝臓、筋肉、脳組織の細胞に入ることが示されています。 (これまでのところ、これらのマウス研究が人間に適応できるという証拠はまだありません。)

以上の研究を踏まえても、結局のところ、この2つの分子のどちらが優れているのか、はっきりと決着をつけることができる方法は見つかっていないのです。

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