プテロスチルベンは加齢とアルツハイマー病による認知機能を改善するかもしれない

プテロスチルベンは加齢とアルツハイマー病による認知機能を改善するかもしれない

プテロスチルベンはフェノール化合物で、レスベラトロールと構造が似ている。グレープやブルーベリーに含まれ、認知や神経機能に対して良い効果があることで知られている。プテロスチルベンは、抗酸化作用と抗炎症作用をもち、2002年と2008年に行われた研究で、高齢者の脳機能を改善することが示された。PPAR-α(peroxisome proliferator-activated receptor)という脂肪酸代謝・炎症・酸化ストレス制御に関わる受容体へ強いアゴニスト特性をもっている。

この度紹介する研究は、マウスを用いて、アルツハイマー病など加齢に伴う病態に対する影響を調べている。

月齢5ヶ月のSAMP8と呼ばれるマウスはレスベラトロールorプテロスチルベンを120mg/kgまぜた食事とコントロールの食事が8週間与えられた。SAMP8マウスは、アミロイドβ蛋白の過剰産生による脳組織へのダメージを研究するために作られたモデルマウスである。

本研究では、プテロスチルベンを経口投与されたSAMP8マウスで認知機能の改善が見られた。加えて、アルツハイマー病に関係する場所でのタウ蛋白リン酸化がプテロスチルベンにより抑制されたというデータも得られた。これらの発見は、プテロスチルベンによるSIRT1活性化より、むしろPPAR-αを通じた効果によりもたらされたと考えられている。レスベラトロール投与群は、プテロスチルベンと比べて効果が小さかった。

SAMP8モデルマウスにおける認知機能改善効果が人間に当てはまるかはまだ分からないが、近年の研究では、プテロスチルベンを含むブルーベリーのような果物が高齢者の認知機能を改善するという報告や、PPAR-αアゴニストが中枢神経系の保護作用をもつという報告がみられている。
そのため、プテロスチルベンの使用は、老化に対する認知機能の改善やアルツハイマー病の進行防止を目的とした選択肢の一つとなりうるであろう。

プテロスチルベンの効果を安全に引き出すためには、ヒトにおいて安全な投与量について考慮する必要がある。FDAは、試験動物の体表面積からヒトで同等の作用が発現する容量を算出する際に用いる、ヒト等価容量(HED:Human Equivalent Dose)のガイドラインを示している。それによると、マウスに対する体重あたり投与量(mg/kg)を12.3で割った数値がおおよそのヒト等価容量(mg/kg)となる。このガイドラインを使うと、本研究でマウスに投与されたプテロスチルベン120mg/kgのHEDはおよそ9.7mg/kgとなり、体重70kgの人間では1日あたり679mgの投与と同等であると計算できる。
一般的に売られているサプリメントは1錠あたり50~100mgであるので、プテロスチルベンのサプリメント利用は安全であり、より高用量の投与でも人体に悪影響を与えないであろう。

参考文献

  • Chang J, Casadesus G, et al. “Low-dose pterostilbene, but not resveratrol, is a potent neuromodulator in aging and Alzheimer’s disease.” Neurobiol Aging, Sep 2012

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